モック
本物の代わりに置く偽物をモックと呼びます。まだ無いものの代わりに置けば試作が前に進み、本物に繋ぐと困るものの代わりに置けば事故とテストの手間が減ります。Claudeが現実味のあるモックデータを大量に作れるようになった今、モックは「本物ができるまでのしのぎ」ではなく、作り始める時の標準の手順になっています。
偽物を置く場所は3つ
何を偽物にするかで、目的が変わります。
- データ: 顧客、注文、記事など、画面に並べる中身。まだ本物のデータが無い試作で、画面の形を確かめるために置く
- まだ無いバックエンド: APIの返事を固定した値で返す。画面を先に作り、裏側は後から本物に差し替える
- 本物に繋ぐと困る外部サービス: メール送信、決済、有料API。開発やテストで本当に送られ、課金され、本番のデータが汚れる(データの事故、お金の事故)のを防ぐ
試作は、モックデータで画面から始める
弊社では、新しい製品や画面を作る時、データベースやAPIより先に、モックデータを入れた画面を作ってもらいます。データの形を決めきれていなくても、画面に並べてみると「この項目は要らない」「ここに日付が要る」と要件が見えてくるためです。要件を会話の中で整理する進め方(新しく作る)と、モックデータは相性が良いです。
モックデータを頼む時は、きれいな例だけでなく、現実の偏りを含めてもらいます。長すぎる名前、空のままの項目、極端に多い件数、日本語と英語の混在。試作の段階でこうしたデータを画面に流しておくと、公開後に「本物のデータを入れたら崩れた」となる箇所を先に見つけられます。
注文一覧の画面を作りたい。まずモックデータで画面を作って。
データは現実味のある内容で50件、長い商品名や住所が空の注文も混ぜて
APIはまだ無いので、固定のモックを返す形にして。後で本物に差し替えられる構造にしておいて
テストの目的に合わせて置き換える
弊社では、自動テスト(品質の観点)から本番のデータベースへ接続せず、本物のメール送信や決済、有料APIへの呼び出しはモックに置き換えます。テストのたびに送信や課金が起きることを防ぎ、外部サービスが動いていなくても自分たちの処理を確かめられるためです。
ただし、すべてを置き換えると、本物との接続ができるかは分かりません。何を置き換えて確認したのか、何がまだ未確認なのかを報告してもらいます。テストの種類に応じた置き換え方は、開発者向けのテスト戦略で扱います。
テストではメール送信と決済をモックにして、本物に繋がずに実行できるようにして
置き換えた部分と、本物への接続でまだ確かめていないことも報告して
本物との差を忘れない
モックで動くことと、本番で動くことは別です。遅延やエラー、大量のデータをモックで用意しても、確かめられるのは自分たちが用意した条件までです。モックで作った画面は、本物に差し替えた後にもう一度確かめます。外部サービスとの接続確認には、そのサービスのテスト用環境や鍵を使います(環境の分離)。
弊社では、モックデータを本物から作りません。本番の顧客データを開発用に複製すると、会話、ログ、テストコード、スクリーンショットへ個人情報が広がっていきます(個人情報・認証・決済)。Claudeに架空のデータを生成してもらえば、現実味と安全を両立できます。
本番のデータは使わず、架空の顧客データを生成して。実在しそうな名前や住所でも、実際の人と一致しない形で